香港の郵便ポスト「ロイヤル・サイファポスト」が消えてしまう

2015/11/02

郵便ポストの「イギリス王室紋章」が消えてしまう!
規制とその影響

郵便ポスト香港郵政はイギリス王室の紋章「ロイヤル・サイファ」が刻印されている59個の郵便ポストについて、紋章部分を香港郵政のロゴマークであるハチドリを配した金属プレートで覆うことを検討していると発表したが、この決議に反対する声が続々と上がっている。
香港に現在配置されている1,148個の郵便ポストのうち、ロイヤル・サイファが刻印されている59個のポストは香港返還前の1997年以前に設置されたもの。返還時にポストは赤色から緑色に塗り変えられ、その後製造されたポストには香港郵政のロゴが刻印されることになったが、ロイヤル・サイファはポストが設置された当時のイギリス国王の紋章が描かれており、歴史的文化財として保護すべきとの声が強い。郵便ポストの保存活動を行っている「香港 Post-Box Search Team」の代表Sin Wai-man氏は「ロイヤル・サイファを覆い隠すことは設置当時の歴史的背景をも消し去ってしまうことに相当する。」と反対の意を表明。「植民地時代に設置された郵便ポストは香港向けに特別に製造されたものであり、当時の西洋文化と中国文化の融合を具現化したものとして非常に貴重なもの。排除すべきではない。」と話す。
香港郵政は正式にはコメントを公表していないものの、植民地時代の名残を払拭するための政治的な圧力によって今回の一件が引き起こされたという見方が濃厚だ。植民地時代に建設された多くの歴史的建造物が取り壊されていく中、日常に寄り添う郵便ポストまで姿を消してしまう日が来るのかもしれない。

■現在も香港ストリート上で活躍中のロイヤル・サイファポスト
GRV: ジョージ5世の紋章(7個)
GRVI: ジョージ6世の紋章(2個)
ERII: エリザベス2世の紋章(49個)
スコットランド王冠の紋章(中環に1個)
※ヴィクトリア女王の紋章を配した郵便ポストは現在美術館に展示中

Pocket
LINEで送る