香港と日本の架け橋に!井川祐輔の新たな香港2nd挑戦

2019/09/04

2018年1月から香港強豪の東方足球隊で活躍してきた井川祐輔。
2019年1月の契約解除後に始めたサッカー塾を、
今回はそれまでの香港サッカー生活も含めて、
新たに“指導者”として歩み始めた彼の姿を紹介していく!

 

1.サッカーを始めたのはいつからですか。またプロを目指すきっかけはありましたか。

三歳頃に、もともと体が弱かった為、親が何かスポーツをと考えたときに、友人からサッカーをしないかと誘われて始めました。その後、中学生の時にガンバ大阪Jrユースでサッカーをしていた際に、すぐ近くにプロを意識できる環境下にありました。意識はしていましたが、当初からプロのサッカー選手になろうとは思っていませんでした。親からは勉強をするようにと言われていた為、大学に行きスポーツトレーナーになることを考え勉強をしてました。しかし、高校三年の時に所属していたガンバ大阪ユース時代にトップチームへ上れる事になり、その当時、所属していた宮本恒靖選手(現ガンバ大阪トップチーム監督)橋本英郎選手(現FC今治所属)が大学へ通いながら選手として活動しているのを見て、自身も同様に大学へ通いながらプロ活動をすることをガンバ大阪へお願いしました。

 

2.その後のプロサッカー選手として活躍されてきましたが、その際に一番苦労した事は何ですか。

ガンバ大阪へ2001年入団後、試合に出る事が出来ず、若いうちに色々なチームへ移籍する事になりました。その後の2005年の名古屋グランパス時代もなかなか試合に出れず、年齢も23歳とJリーガーの平均寿命が23~25歳と言われている中で、まさに丁度引退になるかもしれないという時期に勝負チームが決まらず、自分自身のサッカー選手生活が終わる事を意識し始めました。その時にそれ迄のプロサッカー選手として『今迄、自分は何をやっていたんだ!』と立振る舞いを凄く後悔し始めました。この辛い時期にプロサッカー選手として自分自身と深く向き合うきっかけとなったことで、今の自分があると間違いなく言えます。

 

3.川崎フロンターレ契約終了後、香港イースタンへ移籍するとなった時、ご自身の中で葛藤などありましたでしょうか。またご家族の反応など宜しければ教えてください。

Practice scenery⑥いずれはプロサッカー選手として、一度は必ず海外にでて選手生活をしたいという思いをずっと秘めて、Jリーガーとしてプレーを行ってきました。しかし12年間の川崎フロンターレ時代には、そのタイミングがなく2017年に川崎より契約解除となり、『次にサッカーをするのであれば絶対に海外だ』という思いの中で、次のステップは、ACL対戦で訪れていた香港でプレーを行いたいという思いを決めていた為、ターゲットは香港にしか絞ってなかったです。そこに迷いは全くありませんでした。それよりも、どうやったら香港でプレー出来るかを念頭において考えて行動していましたね。また家族、特に妻はいつもサポートをしてくれて、最後の現役、どこまでやれるか分からないけど、一度きりの人生、海外チェレンジをしたいという思いを彼女に打ち明けた時には、僕がそういう風にしたいという思いだったら、全面的にサポートするよという形を取ってくれたので、本当に彼女には頭が下がります。彼女のサポートがなければ今の僕は存在しません。勿論、僕の熱意が中途半端な思いだったら、彼女も子供が三人いましたし、海外で生活する事は大変なので首を縦には降らなかったと思います。

 

Practice scenery④4.2018年1月2日からの香港での選手生活はいかがでしたでしょうか。

最初は、とにかく驚きの連続でした。ありがたいことにJリーグの環境はアジアの中では恵まれた環境で、日本の場合だと練習場は天然芝だったのですが、香港の場合は人工芝ということでしたし、更衣室も公共の施設を使用するということに、戸惑いを隠せなかったです。ただ、それを体験することで日本の環境がいかに恵まれているかを感じることが出来、日本の良さを改めて知りました。勿論、香港の良さもあり、香港はインターナショナルな環境であり、色々な人種がいる中で生活が出来、その中でスポーツが出来るという事は中々無いと思います。日本のレベルはとても高いですが、日本人の中でのサッカーでしかないんです。また、西洋人の足の長さは日本の中では体験しにくいことであり、言葉の面も含めると物凄く多くのことを香港で学ばせて貰いました。選手としても人生経験としても、日本にいたらけして味わえない事だったので、外に出ることで多くの物事を知る事が出来たので、僕にとっては凄くいい経験でした。

 

5.今回のサッカー塾を始めようとした経緯を教えてください。

きっかけはサッカーを教えてくれないですかというお話を頂いき、自分も子供がいますし、サッカースクールに丁度入れようと考えてもいたので、それだったら自分が教え伝えたほうがいいんじゃないかということから全ては始まりました。

 

6.日本ではなく、あえて香港という地でスクールを始めようと考えたのはどうしてですか。

僕がこれまでJリーグの経験を活かして日本と香港の架け橋をやりたいと考え、香港に住んでいる駐在員の子供達が帰国時に日本の良いスクールを紹介する事や、良い選手を日本に派遣する、いつか自分のクラブチームを日本へ連れて行き対戦試合を行うなど架け橋になれたらいいと考えたのが大きな理由です。

 

7.香港でサッカー塾をする事について周りの反応や自身の気持ちの動きについて教えてください。

こんなにも教えることが楽しく、そして難しいことを改めて立場が変わって発見しました。選手から指導者という立場に変わった時に、指導者の大切さを改めて思い知らされました。だからこそ良い内容の物を提供したいと考えました。周りの反応としても子供達も楽しんで参加して頂いてますし、また日本ではサッカースクールでは嫌がって行かなかった子が、僕の塾には楽しくて毎週来てくれる子などもいます。親御さんたちの仲も非常によくアットホームな形で運営できていますので、サッカー以外でも友達を作ることが出来たり、BBQなどの活動なども行っており、子供達や親御さんの方々に、より良いコミュニケーションを取れる環境の中でやっている状況です。

 

Practice scenery①8.現在のサッカー塾の活動はどのようなものなのでしょうか。

現在は日曜日の午前中10時~11時が5~8歳のクラス、午後4時から6時に小学3年生以上の9~12歳の2クラス制の塾となっています。

参加費については1回200HKDというかたちで行っています。今後の方向性によっては一部変更になるか月謝制等になるかなどは現状未定です。

 

Group pic9.サッカー塾を運営するにあたって、こだわりなどありますか。

何が子供たちにとって一番何がいいのかを最優先に考え指導を行っています。得に上級生クラスに関しては徹底的な技術の向上を考えて指導を行っています。あとは「サッカーIQ」です。僕の考えとしては、サッカー技術だけが上手いだけでは駄目だと考えており、そこには自頭も必要不可欠であると思うんです。頭が良く勉強が出来るもそうですが、スポーツにおいての頭が良い子供たちをいかに育てるかが僕が大切に思っている事の一つです。そこにフォーカスした上で、このサッカー塾をやっていくつもりです。僕はこれまでのサッカー人生で実際やってきた考える事が、凄く大切だと思うんですね。監督が何を求めているのか、今何をしなくてはいけないのか、という状況判断を常に考え行える選手が良い選手だと僕は思ってます。サッカーの技術もそうなんですが、常に考えられる頭を持ってる選手を育てたいと僕自身こだわりが強くあります。今日(取材当日)もボールを投げて、頭を使ってどう行動するのかを考え、その後どう反応するのか、常に頭を使いプレーするという練習を行いました。これはサッカーに限らず、どのスポーツ、これからの人生においても頭を使う事は大事なことだと思うんです。だからこそ、自ら考えて判断し行動する子を育てていくことがこの塾のこだわりであり目的でもあります。この塾では、サッカーを行いつつも頭を同時に使う練習を行い、瞬時に考え判断できる頭を作り上げていくトレーニングを提供していきます。それにより、将来的に状況に応じた行動判断が出来るようになり、サッカーにおいても毎回違う状況が生まれるので、今の状況では何をしなくてはいけないのかなど、常に考えられるマインドになってくる筈です。特に幼いうちに癖をつけておくことで、将来はだいぶ異なってきます。

 

10.どのような子供達にスクールに来てほしいでしょうか

一番は僕に教えてほしいと希望する子たちにメインにやりたいですし来てほしいです。あとは向上心がありやる気のある子たちですね。

 

11.今後、スクールをどのような形にしていく予定でしょうか

現在は日曜の2クラスのみですが、今後クラス編成も増やしていき、一貫したスクールを運営していきたいと考えています。将来的には12歳以上の中学生、高校生のクラスを作り、エスカレーター式ではないですが、僕が教えるこのサッカー塾の縦の構図が出来、いずれトップリーグで活躍できる選手を育てていきたいと考えています。今後、専属のコーチなども配置しいく方向に進めて展開できればと思っています。更に、いずれは塾という形からチームという形にしていければと考えています。

 

12.サッカーを学ぼうと考えている子供達へメッセージをお願いします。

サッカーをやればいいだけではなく、勿論、勉強もとても大事だと思うので、サッカーもしかり勉強もしかり、どっちも通ずるものがあって、TRY&ERROR『何故上手くいかないのか』をすることで、スポーツにも還元でき、更にスポーツから勉強へも還元できます。僕は文武両道いうとは大切だと考えています。お互いに良い作用が生まれればいいと思うので、自分で考え判断できるようになることが大事かなと思います。

 

13.最後に一言お願いします

こうして縁があって香港に滞在させてもらってるので、僕のスクールを通じて皆さんと良いコミュニケーションが取れたらと思っています。是非一度足を運んでください!


Profile pic井川祐輔(いがわゆうすけ)
1982年10月30日千葉県成田市生まれ。2018年に香港プレミアリーグの東方足球隊へ完全移籍。2019年1月に契約解除後、香港リーグ3部のLansbury Football Club蘭斯貝利で監督をつとめながら自らのサッカー塾の運営も行っている。2001年ガンバ大阪ユースからトップチームに昇格。その後、サンフレッチェ広島、名古屋グランパスエイト、そして12シーズンのフロンターレ選手生活の後、香港東方足球隊へ完全移籍から契約解除を経て、現在に至る。

Igawa Soccer School(ISS)
主な活動場所:Cherry Street(九龍)、Happy Valley(香港島)
メール:igawasoccerschool@gmail.com
フェイスブック:Igawa Soccer Schoolでご検索下さい。

 

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