日本アメカジ専門店オーナーにインタビュー「TAKE 5」尖沙咀

2020/07/08

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今年で20周年を迎える、尖沙咀にある日本アメカジ専門店『TAKE 5』。香港人オーナーのBenny・セキさんは、自身でアンティークなミシンを使いこなし、ジーンズ記事のマスクを作ってしまう程のファッション感度が高い人だ。そんなお店はコロナ禍においても、売上はさほど落ち込んでいないという。今回はそんな『TAKE 5』のお話しを伺った。

 

 

PPW:まずは今年で20周年との事、誠におめでとうございます。15周年の時は盛大なパーティーを行ったと聞いていますが、今年も開催されるのですか?

Benny氏:ありがとうございます。今年はコロナ禍という事もあり、我々も含め世界中のみんなが大変な時期ですので、パーティーを開催できないのは残念ですが自粛する方向です。

 

PPW:コロナ禍において、やはり業績は低迷されてますか?

Benny氏:若干の落ち込みはありますが、おかげ様で他の業種・業態よりは落ち込みを食い止められている感があります。弊社の扱っている商品が【日本】の【アメカジ】といったかなりニッチな分野だけあって、好きな方は当店でお買い求めいただくしか方法がない商品が多数ある為、なんとかやって行けております。

 

PPW:それは素晴らしい!不勉強で恐縮ですが、「【アメカジ】ならアメリカの安い服を買って着れば良いのでは?!」と思ってしまうのですが、何故わざわざ【日本】の【アメカジ】なんでしょうか?

Benny氏:はい。【アメカジ】は好きな人は本当に好きという部分もあるのですが、日本にアメカジが入ってきた時に、器用で感度が高い日本人は、【アメカジ】のベースを取り入れて、そこに日本の技術やセンスを加えて昇華させたんです。そしてサイズも日本人に合うように作り替えた。そして日本でブームを巻き起こすことになります。また香港で日本のアメカジが売れる理由には、香港人も日本人も同じアジア人。そう、アジア人が着こなせるサイズだからなんです。

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PPW:なるほど。Bennyさんはどうして、このお店を始めたんですか?最初からファッション関係のお仕事をされていたのですか?

Benny氏:いいえ。最初に日本とビジネスで関りを持ったのは、日本の電化製品を買い付けて香港に売るビジネスからでした。友人たちと会社を立ち上げて、私が日本へ滞在して買い付けを担当、友人は香港に残り店舗運営という体制で会社を運営していたんです。ビジネスもどんどん大きくなっていき、旺角などで5店舗を出店する程になったんです。そうすると今度は買い付けの為の資金が足りなくなってくる。そこで私達は親戚や知り合いから借金をして、運転資金に回したんです。ところが私が日本に滞在しているのを良いことに、香港に残って店舗運営をしていたパートナーが使い込みをしていた事が発覚。私自身、5000万円くらいの負債を負って、その事業は倒産しました。

 

P08 Shopping _take5_747PPW:それは相当大変なことですね。その後はどうなったんですか?

Benny氏:正直、打ちひしがれてしまい自殺するか真剣に迷いました。そんな時に、心配してくれた知人が私をお寺まで連れて行ってくれて、お坊さんの説法を聞かせてくれたんです。お坊さん曰く、今自殺を思いとどまり、仏様を信じて、牛肉を食べるのも止めれば、この困難は乗り越える事ができる。といった物でした。その時の私は文字通り藁にもすがる想いだったので、この困難が過ぎるのであれば何でも信じます。といった感じでした。

 

PPW:そこからTAKE 5が始まったのですか?

Benny氏:丁度そのころ、日本ではアメカジブームが起こり、5大ブランドが【TAKE 5】という期間限定のブランド企画を立上げ、共同で商品を販売しだしたんです。ファンにはそれはそれは堪らない事だったんですよ。その販売会場で私は一社一社回り、各社の社長さん達に頭を下げて、香港で販売をする許可をもらったんです。

 

P08 Shopping _take5_747PPW:香港人の実業家が、日本の会社に代理店を名乗り出たりしても、どの業界も日本の会社は保守的で断られるといった話を良く耳にしますが、Bennyさんの熱意が5社の社長さん達の信頼を勝ち取ったのですね。

Benny氏:はい。有難いことに、外国人で販売の許可をもらったのは、どうやら私が初めてだったようです。それからはここ尖沙咀のTAKE 5で自ら店頭に立ち、一生懸命アメカジの販売に力を注ぎました。午前10時から夜12時まで毎日立って、お客様がいればシャッターは閉めない心づもりでやってきたんです。5社の社長さん達が日本でやってきたように、お客様一人一人に【日本のアメカジ】とは何なのか、それがどうして良い物なのかを啓蒙する事を怠りませんでした。

 

PPW:そんなご苦労があっての20周年なんですね。台湾店も移転オープンに向けて現在内装中だとか?

Benny氏:はい。おかげ様で現在はアジア数カ国に日本のアメカジ商品の卸しをするまでになりました。香港のショップでは事前にフェイスブックにメッセージをくだされば、日本語ができるスタッフが対応する体制も出来ておりますので、香港在住の方も是非一度ご来店ください。

 

PPW:素晴らしい!今後も日本のアメカジの普及に是非ご尽力されてください。ありがとうございました。

 

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take5_07Bennyさんとお会いして思った事は、好きを仕事にするって良いな。という事である。日々のファッションもアメカジでバシッと決まっており、取材当日もオールバックにサングラス、そしてサスペンダーが決まっていた。店舗もアメリカンなアンティーク家具で統一されており、そこにはバーボンウイスキーのボトルも並ぶ。「店で飲むんですか?」「うん、たまに」そんな会話をしながら、年代物のミシンで黙々と読者プレゼント用のマスクを縫い出すBennyさん。この年代物のブラザーやセイコー製のミシンも、日本の業界者からすると喉から手が出る程欲しい代物だという。こんなやんちゃオヤジで生きたいものである。

 


P08 Shopping _take5_747TAKE 5 HONG KONG SHOP
住所:1/F., 17 Cameron Rd., TST
電話:(852)2375-5731
Facebook:Take5 HONG KONG SHOP

BENNY’S STORE
住所:3/F., Wing Hing Mansion, 16 Granville Circuit, TST
電話:(852)2723-8636
Facebook:BENNY’S STORE

 

360↓TAKE 5 HONG KONG SHOP店内を360°ぐるっと閲覧↓



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