カバーストーリー 2022年7月第2週号「広東で愛されるスイーツ 糖水」

2022/07/06

広東で愛されるスイーツ「糖水」

スクリーンショット (1533)甘いもの、それは老若男女問わず、世界中で愛されるもの。広東でも糖水という多くの人から愛される伝統的なスイーツがある。糖水は、緑豆沙、小豆粥、ミルクティー店でよく売れている楊枝甘露、水果捞などの総称。

山西の人が酢を飲んだり、湖南の人が辛いものを食べたりするのと同じくらい、広東人は糖水を食べる。つまり、糖水を食べることは四季を通して生活の一部になっている。春には陳皮小豆(みかんの風味がする小豆汁)を飲んで、暑い夏は昆布緑豆汁で夏バテを解消し、秋冬には甘いけど飽きのこない冰糖雪梨(梨スープ)や、甘いパパイヤと白キクラゲスープ、湯気の立つゴマペーストで暖をとるなど、たくさんの種類がある。
広東の人にとって、糖水は幼い時の記憶を呼び起こすもの、毎日の健康法など、ただのスイーツという意味合いをこえた大事な要素だ。広州の文明路は、通称「糖水の街」と言われ、玫瑰糖水屋、百花糖水屋、明記糖水屋のような老舗店、または満記ような港風スイーツ店がたくさん並ぶ。

スクリーンショット (1534)スクリーンショット (1535)「広東糖水」と呼ばれる由縁は?
スクリーンショット (1536)広東で糖水が愛されるのは、昔からの甘口が好まれる食文化が関係している。広東はちょうど重要なサトウキビ産地であり、製糖技術も早期から開発されてきた背景がある。またパイナップルやバナナなどの熱帯果物やサツマイモなどの農作物が豊富に採れる環境から、その自然な甘さをいかす調理法が伝承されてきた。図1

また、広東の「スープ文化」も糖水の発展に一役買っている。嶺南に位置する広東省は中国全体で最も蒸し暑い地域と言われており、昔から広東人はジメジメした蒸し暑さに対抗するために多くの工夫を凝らしてきた。史書によると、「岭南之地,暑湿所居。粤人笃信汤有清热去火之效,故饮食中不可无汤(嶺南の地、暑湿が強いところ。広東人はスープに清熱と火を取り除く効果があると信じているので、飲食中にスープがないわけにはいかない)」という一文通り、スープは、広東人の「清熱除湿」のための大事なもの。糖水はこの伝統の影響を受けている。

広東でしか食べられない糖水も
全国的に広まった糖水だが、驚くべきは広州文明路の「明記甜品」のメニューには89種類の糖水があり、「百花甜品」の糖水は100種類を超えるほど。つまり、豊富な本場糖水はやはり広東でしか食べることができないというわけ。「杏仁豆腐」を原料とする糖水も、広東では11種類以上あるとか。広東の人が昔から食べてきたさまざまな糖水。自分のお気に入りを開拓してみるのもおもしろいかも。まずは文明路を食べ歩きしてみることをおすすめする。
(PPW編集部)

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