深センものがたり 第49回

2022/08/31

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深セン語
前回のコラムで“深センの方言”について述べた。上海語や広東語のような地域独自の方言としてメジャーとは言えないが、深セン各地に多数分布する方言(地元語など)が深セン語かもしれない。
2005年頃までは、深センの多くの人は広東語を話していた。経済特区設立後に地方から深センに来た人は、仕事上で広東語が必要だと考え、即応で学んで話していたとのこと。地元の老板や仕事で関係する香港人の言語が広東語だったためであろう。
筆者は90年代に、日本語、広東語、普通語、その他方言(潮州、湖南、四川など)の4言語が同時に飛び交うミーティングを経験したことがある。一人の香港人通訳は疲労困憊していた。waya1
深センに住む中国人(客家人)が言うには、深セン語と言われる言語は広東語がベースらしい。深センに移り住んだ客家人は、広東語と混ざった客家語(龍崗客語など)や、軍隊専用語と客家語が広東語に混ざった大鵬語を話すようになったそうだ。(完)
話は、9月10日の「中秋節」(旧暦8月15日)に移る…

深センの中秋節
中国のお月見の風習は、元来宮廷や貴族だけの祭祀行事であった。時代を経て庶民でも取り入れられ、気楽な娯楽に変化してきた。宋の時代では中秋節の夜は眠れぬ夜とされ、夜市は空前の盛況を呈し、お月見の“呑めや、歌えや、踊れや”の宴は朝まで続いた。waya2 waya3世界でも有数の大都会となった深センであるが、少し郊外に足を運べば、各家庭で中秋節を祝う行事が今も行われている。
深センに多く住む客家ルーツの人々の中秋節は、現代もなお伝統的な慣習を引き継ぎ守っている。月餅や柚子(ゆず)などを食べながら、夜に名月が現れると、月の光を拝む(敬月光)。月の神から授かった家族の健康と幸福に感謝をするのが昔からの風習だ。客家の人々は、中秋節を「八月節」または「八月半」と呼ぶ。
waya4中国では祭祀行事中にお供え物を食べる慣習がある。お供え物を食べることにより、健康、幸運の人生になれるとの考えである。
日本では、行事期間中のお供え物を食べると、“このバチ(罰)あたり者!”と叱られるが…

こぼれ話し:親は先ず子どもにお供え物を食べさせるそうだ。子どもたちは、お月見などにまったく興味はなく、早く遊びたいからである。

月餅:月餅は中秋節の必須ツールである。円満(団円)を象徴する丸い形の食べ物だ。また、スイカも丸いので食べる。
日本では団子だな…waya5

柚子(ゆず):日本でいう“ザボン”である。柚子を食べることには意味がある。柚子の皮を剥ぐことを「柚子を殺す」とも言い、邪気を払う意味になる。また、「鬼の皮を剥ぐ」とも言い、悪いものを追い払う願いが込められている。waya6

BBQ:台湾で発祥、定番の“お月見バーベキュー”である。
以前では、ローカルアパート前の路上でお月見バーベキューが時々見られた。最近では路上BBQ禁止のお達しを受け、深センでは減ったであろう。
台湾で、“お月見にはBBQだ!”と、BBQソースメーカーの宣伝により仕掛けられ、一大ブームになったそうだ…(日本での“バレンタインデーにチョコを贈ろう”の洋菓子メーカーと同じだ)waya7


宮城 紀生深セン在住20年のベテランコンサルタント
宮城 紀生
miyagi@waya.net.cn
 
 
 
 
 
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