東莞市にある庭園「東莞可園」

2014/02/06

広東庭園の秀作小さな世界の大自然

東莞可園   東莞可園

 

経済の街・東莞は、観光スポットが少ないと言われている。しかし、そんな東莞でもせっかく訪れたならぜひ寄ってみたい場所がある。「東莞可園」という、清の時代、1850年に造営された庭園で、2001年には中国国務院により全国重点文物保護単位に指定された。東莞の中心部に位置し、こじんまりとした落ち着いたたたずまいを持つ。

明朝・清朝の時代には、広東でも庭園造りが盛んで、「文花園」、「晩景園」、「唐園」、「清華池館」、「環翠園」、「荔香園」、「海山仙館」など多くの有名な園林が造られた。いわゆる「嶺南園林」だ。残念なことに、時代とともに当時の庭園のほとんどがなくなり、美術作品や文献の中でしか見ることができなくなってしまった。しかし、その当時の庭園造りを伝える貴重な庭園の1つが「可園」だ。佛山の「梁園」、順徳の「清暉園」と番禺の「余萌園」と並び「広東の四大名園」と呼ばれている。

「可園」の特徴は、比較的小さな園内だが、大きく感じるような巧みな設計がなされていること。この技法は、「咫尺山林」と呼ばれる。「咫尺(しせき)」とは距離が非常に近いこと、つまり狭い空間を表している。屋敷、池、小道などをバランスよく配置し、限られた空間を最大限利用して、大自然を表現している。考え方としては「盆栽」と通じるものがある。孫子の兵法にある「四通八達」(=四方八方に道が通じる)や三国志で有名な「八卦の陣」を庭園設計に取り込んでいるため、うっかりすると狭い園内で迷子になるかも!?

中国の観光地というとどこへ行っても人ばかりというイメージだが、観光客の少ない東莞ならではの静寂スポット。心を落ち着けて広東庭園の秀作に身を置いてみよう。

東莞可園3

東莞可園
住所:東莞市莞城可園路32号
開放時間:8:00~17:30
料金:RMB8

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