体にやさしい夏の薬膳 夏場の家庭の常備品―「緑豆」を知ろう!

2017/05/24

薬膳には伝統的な夏バテ対策の知恵も隠されている。地元の人に夏バテ対策に何を食べたら良いかと尋ねると、「緑豆がいいよ」と教えてくれる。町中でもつめたく冷やした緑豆粥がドリンク容器に入れて売られていたり、緑豆のアイスキャンディーを見かけたりする。今回はこの「緑豆」にスポットを当ててみよう。

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         薬膳の代表「緑豆」 日本では緑豆そのものを見かけることも料理として食することもほとんどないが、中国ではとてもポピュラーな食材。特に薬膳の世界ではたいへんよく知られている。中国・明の医者で本草学者でもある李時珍は、緑豆を“菜中的佳品”(野菜の中の逸品)と称している。体にたまった余分な熱を取り除き、利尿作用があるため、渇き、むくみ、下痢、はれものなどに効果があるとされている。昔から「その効は衣にあり」と伝えられており、薬膳効果はとくに皮の部分のあるとされている。そのため、多くの場合、皮(緑豆衣)をつけたままで使用する。またでんぷん質は春雨などの材料としても使われる。特に夏の時期、緑豆の煮汁(緑豆湯)や豆の形が崩れるまで煮た「緑豆沙」、米と一緒に炊いた緑豆粥などをお茶代わりにいただいて夏バテを予防するのが生活の知恵として知られている。緑豆粥は“緑豆版おしるこ”のようなイメージで、常温でも冷やしてもおいしくいただける。夏場、日本家庭の常備飲料といえば麦茶だったが、中国では緑豆飲料がどの家庭でも常備飲料として用意されていた。緑豆湯や緑豆粥を朝早く作っておき、冷ましておいていただくのが中国・夏の風物詩でもあった。

日本では緑豆そのものがあまり流通していないので、海外に来て初めてその存在を知った方も多いはず。使いなれない食材は何かきっかけがないとなかなか使ってみようとは思わないものだが、緑豆は手軽に調理ができるスグレモノなので、ぜひこの機会に挑戦してみてはいかが?代表的な緑豆粥と緑豆湯の作り方を参考にしてみよう!


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色も鮮やかな「緑豆粥」

      緑豆粥の作り方(4人分):緑豆50g、米150g、氷砂糖少々を用意する。①緑豆、米をそれぞれ磨ぎ、一緒に鍋にいれて、適量の水を加え、強火で煮立てて、弱火で粥になるまで炊き込む。②氷砂糖を他の鍋にいれて、少量の水を加え、弱火で溶けるまで煮て、粥を入れ、よく混ぜ合わせれば出来上がり。

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夏は「緑豆湯」がお茶代わり

        緑豆茶の作り方(4人分):緑豆100g、水1000cc、氷砂糖適量。①緑豆は洗って2時間ほど水につけて戻す。②鍋に水と水気を切った緑豆を入れ、アクを取りながら30分ほど豆が破れるまで煮る。③緑豆がやわらかくなったら、好みで氷砂糖を加え溶けたら火を止める。


1  【緑豆とは】緑豆(リョクトウ)はマメ亜科の一年生植物「ヤエナリ」(八重生)の種子のこと。別名は青小豆(あおあずき)、文豆(ぶんどう)。アズキとは同属になる。日本ではもやしの原料(種子)として利用されているが、国内では緑豆を生産していないため、ほぼ全量を中国から輸入している。

 

 

 

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