「Guan Shanyue Art Museum 关山月美術館」深圳

2018/07/11

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インターネットで作品を眺めているだけでは、美術に対する審美眼は磨かれないもの。美術館を訪れて迫力あるアートを実際目の前にすれば、傑作的美術作品の数々はあなたをエモーショナルで知的な世界へと誘ってくれるだろう。例えば香港から気軽にアクセスできる、深センの「关山月美术馆」はどうだろうか。

 

 

 

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关山月(Guan Shanyue, 1912-2000)は、霧に霞む山頂の描写が有名な中国人画家である。1912年に阳江市で生まれ、若い頃から絵画の道を志した。1933年、广州市立师范校を卒業した彼は、1940年まで岭南画派の権威、高剑父に師事。その後关は1941年から中国西部を回って古代仏教の壁画を研究しながら、仏教の聖地をテーマに作品を制作をする一方、多くの個人展覧会を主催して様々な作品を発表した。キャリアの後半には多くの著名機関で後進の指導に尽力したことでも知られる。

 

关の視野は中国だけに留まらず、ソ連、ポーランド、スイス、フランス、ベルギー、韓国、ベトナム、日本、米国を訪れ、世界各地の作品や芸術の発展について深い造詣を持っていた。1991年には中国美術のための基金設立を志して中国の芸術家協会に寄付を行い、この美術館設立のためにも資金と作品を提供した。

 

 

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关山月美术馆は、研究と収集のチーフ・オフィス部門、展示部門、プロモーションとプランニング部門の4つで構成されている。収蔵されている作品は約1800点で、伝統的な手法と現代的な感覚をリンクさせた、彼の墨絵コレクションが中心だ。初期の作品からはヨーロッパの美術教育が1920年台前半に中国の芸術家達にもたらした影響が感じられる一方、50年台から70年台の作品には国家としての中国のマーカーとして、中国の墨絵技術がどのように使われたかが分かる。

 

 

 

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1980年代以降の作品では、中国の伝統に基づいた技法に、より優れた描画教授法を適用。一連の彼の作品からは、現代中国の墨絵技術の発展を伺い知ることができる。またプロモーションと企画のセクションでは、中国のコンテンポラリーアーティストの作品を鑑賞することも可能だ。

この40年、中国の新しいメディアアートシーンは成長を続けてきた。個性的で現代的、かつ奥深い伝統を持つ社会として、中国には時と空間、白と黒、音と静寂を反映した豊富なイメージの創作、絵画、書道の長い歴史がある。そういった伝統に加え、1人っ子制作、天安門事件、90年台からの急激な経済成長などの影響を受けた若い世代の多くのメディアアーティスト達が、中国の伝統文化を維持しつつ、現代のアートシーンを形成するための新たな道筋を作りつつあるといえるだろう。

 


关山月美术馆(Guan Shanyue Art Museum)
住所: 福田区红荔路6026号
時間:9:00~ 17:00(月曜休館)
アクセス:最寄りはMTR 少年宫駅 B出口

 


 

ProfileAnnabelle
美しいものに囲まれている時間が一番幸せだと感じる、美学に酔いしれる20代の香港女子。

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