深センものがたり 第16回

2019/10/30

âëâbâLü[吾輩は犬である その7

吾輩は犬である。名前はまだ無い。ノラ犬なので当たり前だ。深センに長く暮らすが家(犬小屋)は無く、深センの街で自由気ままに暮らしている。
ある日、散歩していたら見知らぬ旅人(犬)と出会った。巷の噂によると彼は日出る国からやってきたらしい。(日出る国とは日本のことである)雰囲気がサッパリしていて、なぜか声が小さい。全身スキだらけであるが、街の中をさっそうと歩いている。

「オイ、日本犬!」2
「なんだ?最初に言っとくが、犬には日本犬と言う種類はない。オレはノラ犬なので名前も無い」
「そーか、オレも名無しだ」
「お前もノラなら当然だろう」
「どうやって深センへ来たんだい?船だろな…」
3「海を泳いで渡って来たのさ」
「へぇー何日かかった…、なんでやねん!溺死するやろが!」

「これからどこへ旅するんだ?」
「そうさなあ、風の向くまま、気の向くままってとこだ」
「(か、かっこいい)、、、この街は気にいったかい?」

「ああ、すこぶる気にいったぜ、メシはうめえし、女性がキレイだねぇ〜」
「だろう、えっ?女性って犬の方だろな?」
「ちがう人間の女性だ。オレの前世は人間だったようだ。人間の女性に惚れちまうのさ。困ったもんだ」
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「オレ、東京のクラブでナンパした美人と交際してたんだ…」
「ひぇ〜人間の美女と?ひぇ〜、で、どうなった?」
「区役所の婚姻届けが認められなくて仕方なく別れたのさ…」
「そうなんだ…なんでやねん!おかしいやろが」(あんたもかなりおかしい犬である)

「ん?お前、大阪弁話すのか?」
「せやねんなんでか知らんがたまに出てくるねん、大阪っていう外国なんか行ったこともないねんで」
5「日本には漫才ってのがあって、大阪人たちは人間も犬も会話が漫才師なんだ(笑)」
「ワシの前世ちゅうのは漫才師かい、おい!」(と、ツッコミつつ相方をたたく)
「ははは、世界初の漫才犬でデビューできるぞぉ〜ははは」
「おかしなやっちゃなぁ、ホンマ」(2匹とも変なやつだ)

ある日、彼を深セン最大の繁華街である東門の歩行街散策に誘い出した。ここは平日の昼間にもかかわらず大勢の人間が歩いている。
「今日は祭りでもあるのか?」waya_shenzhen
「いつもこんなもんだ。休日にはこの3倍くらいの人だかりだぜ」
「この人間たちはいったい何してるんだ?」
「買物したり、メシ食ったり、散歩してるんだ」

「仕事とかしてないのか?」
「そこはわからん、けど、カネがないと買物もメシもダメなはずや」7
「オレたちゃ、カネなどないがメシは食ってるな、うん」
「おかしなやっちゃなぁ、けど、カネもないのにどうやって東京のクラブへ入れたんや」
「冗談やないか、あんたとは、やってられんわ」(と、ツッコミつつ相方をたたく)
「そりゃオレのセリフやないか、あんたとは、やってられんわ、(2匹一緒に)ほなサイナラ〜」

ちなみに、これは“動物漫才コラム”ではない、あくまで文学なのだ。吾輩は犬である。名前はまだ無い…。


宮城 紀生深セン在住18年のベテランコンサルタント
宮城 紀生
miyagi@waya.net.cn

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